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「復活詐欺」に注意

経済 マスコミ

10年前から百貨店の復活を唱え続ける松岡真宏。そんな松岡が日経ビジネスの特集でまたしても登場。

…涼しい顔で「百貨店、復活できますよ」とおっしゃる方がいらっしゃる。それが本連載に登場する松岡真宏さんです。

 松岡さんは1990年代から2000年代前半にかけて、外資系証券会社にてナンバーワン流通アナリストとして広くその名が知られていました。切れのいい分析力と何より流通業界に対する深い愛情が買われ、産業再生機構に参加、ダイエーの建て直しのチームに加わり、自ら現場の店頭に立って陣頭指揮にも当たり、ダイエーの再生が一段落したのち、現在では企業再生とM&A(合併・買収)を専門とするコンサルティング会社であるフロンティア・マネジメント(東京都千代田区)の代表取締役を務めています。
「三十貨店」では魅力がなくて当然でしょう:日経ビジネスオンライン

2000年に松岡真宏は『百貨店が復活する日―21世紀日本流通市場論』を上梓した(日経BP)。しかし、その単行本のタイトルにもかかわらず、百貨店は復活するどころか、この10年間で見るも無残な状況になってしまった。身近なところでも、池袋、新宿、吉祥寺の百貨店は量販店になっている。地方都市に至ってはさらに悲惨なことは言うまでもない。松岡の予言はこの10年大きく外れたのだ。

にもかかわらず、今回の特集で松岡は言う。「百貨店は豊富な品揃えこそ強みであった。だが、自らを見失って、三十貨店に成り下がった。だから駄目になった」と。これはまやかしのロジックだ。ペテン師の論法と同じ。「○○は復活する」と予言しておきながら、外れれば「私の言うことを聞かなかったから悪い」と。かりに復活していれば「ほら、言った通りでしょう」と誇らし気だったのだろう。つまり「予言が当たったら私の勝ち、予言が外れたら貴方の負け」。こんな単純な詐欺も今どき珍しい。「復活詐欺」とでも命名するか。日経グループがなぜこの「復活詐欺」に加担するのかは謎であるが。

では、かりに身近にこういう詐欺師が現れたらどうするか。撃退方法は簡単。「では、あなたが復活させてみなさい」と言えばよい。そして、実際にやらせてみればよい。ホンモノかニセモノかその結果で判定すればよいのだ。果たして、松岡もあのダイエーの再建に参画した。で、リトマス試験紙の色はどうだったか。彼はダイエーを再建できたかのか。否。否。否。断じて否。

だが、この点に関しても、日経は言うことが振るっている。松岡の経歴紹介では「ダイエーの再生が一段落したのち」と書いている。教えてほしい。いつダイエーの再生が一段落したのか。坂口安吾ならこう書くだろう、「嘘をつけ!嘘をつけ!嘘をつけ!」と。報道に携わるものは、このように読者を欺く表現を決して用いてはならない。

さて、ダイエーの再生も実現できなかった松岡は、現在ではコンサルティング会社の代表だという。「私の言うことを聞けば、百貨店は再生する」と言って回っているのだろう。まあ、言うのは自由だ。だが、その片棒を担いでいるのは天下の日経グループ。総会屋まがいの泡沫経済誌ではあるまいし、日経はいつまでこんなことを続けるのだろう。