「派遣」は雇用のカンバン方式なのか

変動費の調整手段としては「派遣切り」には合理的な面もあるのだろうと思う。少なくとも短期的には、であるが。だが、現在、製造業で行われている雇用調整が、経済全体のスローダウンに合ったものなのかどうかは、現時点では何ともいえない。

しかしながら、余分な社員を抱えないという点で生産管理的には合理的なこの方法も、社会全体にとって最適であるとは言えそうもない。「加藤の乱」のような事件が起きれば、社会にとって小さくないコストとなって撥ねるからだ。

製造におけるカンバン方式は、下請け部品メーカーの工場の災害で思わぬ弱点を晒した。ギリギリのところで業務を行うことは、リスクイベントに対する余裕が少ないというわけだ。現在の「派遣」も同じような問題を抱えていると言えるだろう。いまの姿が「問題がない」とは全く思えない。