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「三菱UFJ、最大1兆円増資へ」という日経記事の愚

今日の日経新聞の朝刊の一面トップ記事「三菱UFJ、最大1兆円増資へ 年度内、株価見極め判断」。内容的には十分ありそうな話だ。

だが、金融商品取引に影響力のある日経新聞が、上場企業のファイナンスに関する重要情報(しかも公募増資)を、内部者=インサイダーからのリークに基づき「明らかになった」と堂々と報じているのは大いに問題だと思う。

記事の末尾に「増資計画を縮小したり、先送りしたりする可能性も残る」と記したのは「確定的に報じたわけではない」という逃げ道のつもりなのかもしれないが、現在の厳格なコンプライアンス行政の下では、このような小手先のリスクヘッジは全く有効ではない。これまで幾度となく、日本の上場企業の企業倫理を説いてきた日経にそれが理解できていないわけはないと思うのだが(日経は非上場だから許されるというダブルスタンダードなのかな、それはそれで大いに問題だと思うけれど)。

思い起こせば、2006年、日経は、上場企業の公告(広告ではない)を取り扱う過程で、業務に従事する社員が未公開の重要情報を使って社員がインサイダー取引を行うという事件を起こした新聞社だ。社内体制はどうなっているのだろうか。特ダネというビジネス上の論理が、法令遵守に優先してしまっているのではないか。

金融関連のニュースについてはNHKに負けまいという意識が強いのだろうが、さすがに上場企業の公募増資に関する記事を1面トップに持ってきて得意になっている姿を見ると、経済紙としてはレベルが低いと失望せざるを得ない。

三菱UFJ、最大1兆円増資へ 年度内、株価見極め判断

三菱UFJフィナンシャル・グループが今年度中に最大1兆円規模の増資を検討していることが25日、明らかになった。米モルガン・スタンレーへの90億ドル(約9000億円)に上る出資も踏まえ、保有株の価格下落に伴う自己資本の目減りを補い、財務の健全性を強化する。金融危機が世界的に深刻化する中で、自力で大規模な増資を実施することで金融安定化につなげる。

公募による普通株の増資と、私募による優先出資証券の発行を組み合わせて調達する計画。普通株の増資は6000億円規模を想定しているもようだが、国際的に金融・株式市場が混乱しており、市況を見極めたうえで実施する方針。増資計画を縮小したり、先送りしたりする可能性も残る。
日本経済新聞