三菱UFJとモルガンスタンレー

今回のアメリカの金融危機で、三菱UFJモルガンスタンレーに1兆円近い出資を行うことになった。だが、出資の見返りに狙う具体的な成果は、当然のことながら「補完関係」を狙った業務提携を行うことになる。

では、具体的な「補完」とは何か。商業銀行、信託の分野で日本トップである三菱UFJにとっては、証券分野でのさらなる強化を図ることが最重要課題だろう。特にM&Aやファイナンス等の投資銀行部門においてモルガンスタンレーの人材やノウハウは欲しいところではないか。

一方、モルガンスタンレーにとっては、日本における三菱UFJの顧客基盤は魅力だろう。特に法人取引におけるメガバンクの顧客チャネルの広がりと厚みは大いなる財産である。

ということで、両社の提携の内容を想像するに、証券会社の統合、少なくても日本法人の投資銀行部門の統合は必然であり、公式コメントで否定しようが、詳細が固まる前に遅からず発表があるものと思われる。

三菱UFJFG:モルガン日本法人統合を検討 傘下証券と「M&A」首位に
 三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)が、傘下の三菱UFJ証券と米証券大手モルガン・スタンレーの日本法人を経営統合する方向で検討していることが3日分かった。統合すれば、日本企業が絡んだM&A(企業の合併・買収)助言業務で最大手の野村ホールディングス(HD)を抜き国内トップクラスの証券会社となる。【斉藤望】

 三菱UFJFGは、米金融危機で株価が急落したモルガンに90億ドル(約9500億円)を出資し、21%出資の筆頭株主になる。併せて投資銀行や資産運用などの業務面での提携も検討しており、来年6月末までに具体化を目指す。証券会社の統合が提携の柱の一つで、弱点である証券業務の抜本的強化を図る。

 三菱UFJ証券を、法人部門(企業の株式引き受けやM&A関連業務など)と個人部門(一般投資家に株式を販売)に分割し、法人部門をモルガン日本法人であるモルガン・スタンレー証券と統合する計画を軸に検討している。個人部門は三菱UFJ証券として残す方針。

 海外企業が絡むM&Aや大企業の新株引き受けで実績があるモルガン・スタンレー証券との統合により投資銀行業務強化を目指す。

 総合情報会社トムソン・ロイターによると、日本企業が絡んだM&Aの助言業務の08年1〜9月の取引金額は、三菱UFJ証券が大半を占める三菱UFJFGは142億1100万ドル(約1兆5000億円)で3位、モルガン・スタンレー証券は91億2300万ドルで6位。両社を足すと、トップの野村HD(162億5200万ドル)を上回る。債券の引き受け業務でも国内最大級となる見通し。

 ただ、一般企業の売上高にあたる営業収益は、首位の野村HD、2位の大和証券グループ本社には及ばない。


毎日jp(毎日新聞)