村上隆と24時間テレビのキキカイカイ

今年もまた24時間テレビの季節になった。ファンの人には悪いが、実はろくに見ていない。司会が誰になろうが、マラソンランナーが誰になろうが、ほとんど関心はない。もちろん、慈善活動の重要性は理解しているし、募金をする人の善意は尊重したい。だが、運用方針はもちろん、収支報告書すら開示されていないこの「基金」に資金を出すことが、慈善活動あるいはその支援として最適だとは思わない。「募金額」はこまめに発表されるのに、「広告収入」は永遠に隠蔽されたままというのも、かなりアンフェアだ。

24時間テレビの話は書けば長いのでこの辺にするが、今日は村上隆。これまたファンの人には申し訳ないが、「アート」というよりも「ビジネス」を感じさせる人物である。ライブドアの堀江被告になぞらえるわけではないが、マスコミを味方につけた壮大な相場操縦の匂いがする。そして、収益を次の投資案件に向けている感じがする。いや、まともな投資案件ならいいのだが、自分のブランドを冠に付けただけで実質の伴わないものをデッチ上げて売り出そうとしている感じがする。いや、気のせいか考えすぎかもしれないが。

さて、この村上隆の代表的キャラクターである「カイカイ」と「キキ」が今年の24時間テレビのキャラクターとなった。今回、どのようなお金が村上隆関係者に払われたのか、実にキキカイカイだ。「チャリTシャツ」は一枚1,600円ということだが、このうちいくらが誰にどう払われるのかさっぱり分からない。まあかりに一枚あたりの「寄付金」が1円であってもそれをチャリティと呼べないことはない。それに、趣味の問題だが、このTシャツを身に着けるだけで気分がよくなるという人がいれば、それはそれで幸福なことなので、私が口を挟む問題ではない。

ただ、本質的にスポンサーからの広告収入に依存しているTV局と、「アート」の値段を吊り上げることによって収入を得ている村上隆が、「慈善活動」の旗印の下で手を結ぶ構図を眺めるのは、やはり気分が悪い。「偽善」とかいうレベルではなく、あからさまに商業主義を連想させる。難病に苦しむ人を救うにはそのような「商業主義」も有効なのかもしれない。が、難病患者の家族が商業主義を利用することは許されても、その逆に商業主義が難病患者を利用することは許されるべきではないと思う。

六本木ヒルズのオープン時に、村上隆は「ロクロク星人」なるキャラクターを生み出し、森ビルとタイアップした。この事実だけをもって、彼をホリエモンと同じ「ヒルズ族」に括ることはしたくない。が、資本やメディアと巧みに手を結んで大衆からお金を巻き上げるのが上手なのは一体どっちだろうかと考えさせられる。ただ、証券取引法違反を問われるフィールドでビジネスを行っているか、そうでないかという相違があるだけだ。

まあ、結局はライブドア株への投資と同じで、相手がアートであろうとチャリティであろうと、最終的にお金を投じるときは「自己責任」ということで。