まず赤字を出さないと値上げできない

独占企業であっても価格決定においてフリーハンドを得ているわけではない。まず赤字を出さないと値上げができないのが日本。ここでは株主の利益が世論に劣後するのが当然であることを、投資家は認めなくてはならない。

東京電力、当期赤字2800億円 09年3月期見通し

 東京電力は28日、09年3月期連結決算が2800億円の当期赤字になるとの業績見通しを発表した。08年同期の1501億円に続き、2期連続の大幅赤字となる。新潟県中越沖地震で主力の柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)が全面停止し、火力発電比率が増しているところに、原油高騰に見舞われたためだ。

 東電は、業績回復にまだ時間がかかることから、1株あたりの年間配当を5円減配し60円とする。配当原資にあてるため、過去の利益の蓄積である別途積立金を取り崩す。

 柏崎刈羽原発の停止によって、火力発電や他の電力会社からの購入で不足電力を賄っており、また休止していた火力発電所の再立ち上げの必要もあって、計7880億円の費用がかかる見通し。原発停止で核燃料費や使用済み核燃料の処理費用が400億円浮くが、差し引き7480億円の減益要因となる見込みだ。

 燃料価格の高騰は他の電力会社も直撃しており、関西電力も28日、09年3月期連結決算の当期損益見通しを下方修正し、690億円の黒字から550億円の赤字とした。赤字に転落すれば80年3月期以来29年ぶりとなる。
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