天才というよりも奇才〜『DDD1』

奈須きのこの新作『DDD1』を読んだ。2007年1月1日刊行の初版は、私が買った後に完売となり、いま流通しているのは第2版になる。

DDD 1 (講談社BOX)

DDD 1 (講談社BOX)

表紙に「この人は、やっぱ天才だわ!」という編集長のオビ(正確には円形のステッカー)が貼られている。内容は「悪魔憑き」を題材とした伝奇物で、天才というよりは奇才と呼ぶべきだと思う。

文体的には『空の境界』のような硬質な雰囲気はなくなり、いわゆる「ライトノベル」風。西尾維新乙一のテイストに近づいたとでも言うべきか。読みやすくなったといえるが独特の緊迫感も失われたと思われ、個人的には、このスタイルチェンジはかなり残念。

今回は『DDD』の第1巻ということで、この「悪魔憑き」の端緒を見せているに過ぎない。続刊で少しずつ真相が明らかになると思われる。今後も目が離せない作家ではあるが、「続きが待ち遠しい」というほどではない。