日興が切るカードに注目〜みずほFGの証券再編

みずほ証券新光証券は来年1月に合併することで合意したと発表した。

みずほ・新光証券、合併を正式発表

 みずほフィナンシャルグループ(FG)系の準大手証券であるみずほ証券新光証券は10日、2008年1月をメドに合併することで合意したと正式発表した。預かり資産で国内4位、営業収益では日興コーディアルグループを抜き国内3位の総合証券が誕生することになる。「貯蓄から投資へ」の流れが強まるなか、みずほグループは再編をてこに証券業務を強化し、大手証券を追撃する。

 両社はそれぞれ同日午前に臨時取締役会を開き、基本方針を決定。6月の定時株主総会で正式に決める。みずほ証券みずほコーポレート銀行が株式の8割を握る非上場企業。上場している新光証券みずほ証券を吸収する形で合併し、上場を続ける。新社名は「みずほ証券」。社長には現みずほ証券の横尾敬介副社長、会長には新光証券の草間高志社長が就任する予定。合併比率は今後、決める。

 みずほは社債の引受業務など法人部門に強く、新光は個人向け営業に強みがあり、合併により法人取引から個人営業まで総合的な証券業務を提供する体制が整う。

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みずほFGには、不祥事で信用力の低下している日興証券から提携強化や増資の要請もあったと思われるが、まずグループ内での連合を優先するという今回のみずほの戦略は妥当性がある。合併により営業収益は日興を抜いて国内第3位となるので、日興との交渉で一気に優位に立つ可能性が高くなった。

この合併は二つの問題を孕んでいる。まず、上場維持の問題。今回のスキームでは、上場企業である新光証券が存続会社となり、非上場のみずほ証券を吸収するつもりのようだが、両者の規模・収益力・社名からすると、新光証券を存続会社とするのは不自然である。この点に疑義が生じた場合には、上場廃止となるリスクがある。合併会社が上場廃止となれば、いまのところ上場企業である日興証券との交渉において必ずしも優位性を確保できなくなるだろう。

もう一つの問題は、同じグループ内で今回の再編から取り残されるみずほインベスターズ証券の存在。経営の効率性を損なうばかりか、顧客の混乱を招く可能性がある。みずほ信託とみずほアセット信託が合併したように、両社もやがて再統合されるかもしれない。が、みずほコーポレート銀行とみずほ銀行のようにずっと並存するかもしれない。みずほ系のリース会社3社は相変わらずバラバラなように、思い切った統合のできないみずほの「お家の事情」が透けて見える。

だが、いずれにしても、みずほは証券再編に向けて舵を切った。業界4位に転落する日興がどのようなカードを切るのか注目される。