(ネタバレを含みますので最終巻を未読の方はご注意下さい)
『デスノート』の単行本の最終巻が刊行された。予想通り、月の死亡により幕を引いた。数字合わせとしては、13巻が最終巻の方が美しかったとか、初代Lが退場したところから相当パワーダウンしたなとか、いろいろと望むところがないわけでもないが、週刊少年ジャンプ連載の人気漫画にしては、まあいいところで終わったと思う。
- 作者: 小畑健,大場つぐみ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/07/04
- メディア: コミック
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月の死後、彼を教祖として仰ぐカルト教団が描かれる一方で、犯罪が起きる普通の世界が描かれる。そう、これこそが僕らの生きている「日常」だ。悪は常に罰せられるわけでもないし、正義は常に勝つわけでもない。全てを裁ける存在がいるというようにも思えないが、絶望するほどでもない。
かつてTHE BLUE HEARTSは歌った。
ここは天国じゃないんだ
かといって地獄でもないいい奴ばかりじゃないけど
悪い奴ばかりでもない
("TRAIN-TRAIN" THE BLUE HEARTS)
そう。結局、いつか裁きの日が来るなんて、きっと幻想だ。僕らはこのあいまいで割り切れない世界の中で、よく分からない人に囲まれながら、長い時間をひたすら生きていく。たぶんそれしかないのだろう。