ここは天国でも地獄でもない〜"DEATH NOTE"の終焉

(ネタバレを含みますので最終巻を未読の方はご注意下さい)

デスノート』の単行本の最終巻が刊行された。予想通り、月の死亡により幕を引いた。数字合わせとしては、13巻が最終巻の方が美しかったとか、初代Lが退場したところから相当パワーダウンしたなとか、いろいろと望むところがないわけでもないが、週刊少年ジャンプ連載の人気漫画にしては、まあいいところで終わったと思う。

DEATH NOTE (12) (ジャンプ・コミックス)

DEATH NOTE (12) (ジャンプ・コミックス)

月の死後、彼を教祖として仰ぐカルト教団が描かれる一方で、犯罪が起きる普通の世界が描かれる。そう、これこそが僕らの生きている「日常」だ。悪は常に罰せられるわけでもないし、正義は常に勝つわけでもない。全てを裁ける存在がいるというようにも思えないが、絶望するほどでもない。

かつてTHE BLUE HEARTSは歌った。

ここは天国じゃないんだ
かといって地獄でもない

いい奴ばかりじゃないけど
悪い奴ばかりでもない
("TRAIN-TRAIN" THE BLUE HEARTS)

そう。結局、いつか裁きの日が来るなんて、きっと幻想だ。僕らはこのあいまいで割り切れない世界の中で、よく分からない人に囲まれながら、長い時間をひたすら生きていく。たぶんそれしかないのだろう。