DSの品不足に付け込めないソニー

ニンテンドーDSが買えない。新製品のDSライトにこだわらず、普通のDSで構わないと思っていても、買えない。そればかりか、予約さえもできない。跋扈する転売屋を除けば、クリスマス商戦も終わったこの時期に、新製品でもないゲーム機の売り切れが続いているという状況は、やっぱり異常事態と呼んでも差し支えないだろう。

ここに来てのDS人気の過熱は、「脳力ゲーム」や「おいでよ どうぶつの森」のヒットにより購買層が拡がったのが主因だろう。「ソフトあってのハード」「コンテンツあっての規格」というごく当たり前のことを改めて認識させられる。

任天堂がDS量産態勢を構築していない今こそ、ソニーはPSPで攻勢をかけるチャンスなのに、そんな基本的な戦略が立てられないところは、典型的な大企業病の症状のように見える。いまは関連会社の売却や、OBの退陣など、メスを入れるべき病巣にようやく手をつけ始めたところだが、前向きな営業戦略を立案して実施していく段階にまでには、いまだ到達していないようだ。

もはや、iPodやDSに比べたときの類似のソニー製品は、輝きを失っているように見える。「SONYブランド」なんてプレミアムはとっくに剥げているのだから、大々的に広告を打つとか、大幅な値下げをするとか、なりふりかまわずにやるべき時期に来ているのではないだろうか。

ニンテンドーDS:新型機3月で45万台以上 品薄状況に理解求める
2日に発売されるニンテンドーDSライト

 携帯ゲーム機ニンテンドーDSの新型機「DSライト」発売前日の1日、任天堂は3月の出荷予定を45万台以上と発表した。現行機も20万台以上を予定しているが、同社は「予想をはるかに超える需要で、要望に応えきれないと認識している」と発表した。十分な在庫が確保できない販売店は、予約受付もできない異例の事態に困惑している。【河村成浩、立山夏行】

 DSライトは、現行機とほとんど性能は変わらないが、本体は厚さ、大きさが全体にコンパクトになった。上部画面とタッチパネルの大きさが違う現行機のデザインから、上下ほぼ同形、同サイズになり、折りたたむと手帳のようになるデザインに変更。画面の明るさは4段階に調整可能で、価格は現行機より1800円高い1万6800円。クリスタルホワイトとアイスブルー、エナメルネイビーの3 色を同時発売する予定だったが、「製造工程での予期せぬ支障」により、クリスタルホワイトのみ2日に発売、ほか2色は11日に発売を延期した。

 販売店は、DSライトの確保の見通しがつかないため、ほとんどの店舗で予約を控えている。現行機のDSは、「脳力ゲーム」などのヒットで幅広い世代に浸透し、年末商戦で大ブレーク、05年12月に144万台、06年1月は73万台を販売(エンターブレイン調べ)し、品切れ状態が続いている。

 大手量販店の仕入れ者は「発売初日に購入希望者全員に行き渡るのは難しく、並んでも買えなかったお客様には状況を説明しておわびするしかないだろう」と話している。

 任天堂は1日夜に「引き続き1台でもお届けできるよう鋭意取り組んでおります」などとするコメントを急きょ発表、理解を求めている。


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