プリウス納車5ヶ月待ちに思う

トヨタのハイブリッド車プリウスが売れている。今注文しても納車は7月ということで、実に5ヶ月待ち。トヨタの乗用車でこんなに長期間のバックオーダーを抱えるのは、実にバブルのとき以来らしい。

もっとも「バブルのとき」というのは、1989年にデビューしたセルシオの一年待ちのことで、あのときは「トヨタがメルセデスに匹敵する最高級車を出した」というその事実が話題になった。言い換えると、セルシオというコンセプト自体が大きなニュースだったのである*1。が、今のプリウスは事情が違う。ハイブリッド車というコンセプトは目新しいものではなく、すでに商業ベースでも第二世代である。そして、第二世代のデビューからも時間が経っている。では、なぜ今か?と考えると、やはり原油価格の高止まりが背景にあるのだろう。

ライフスタイルの変革は、思想の普及によるよりも、さまざまな財の相対的な価格の変動によってもたらされる方がインパクトが大きくまた持続的だ。今回のプリウスの品薄も、アメリカ向け輸出の急増によるところが大きい。極端な言い方になるが、「地球温暖化のことなんか知らない」という人でも、ガソリン代で自分の懐が痛むのを避けるために、低燃費なクルマを買い始めたということではないか。

今回のプリウス人気というのは、いわゆる「エコロジスト」以外に売れ始めた証左ではないかと思う。それが、時代がようやくプリウスに追いついたということだろう。

*1:ちょうどキヤノンがプロ用のAF一眼レフとしてEOS-1を世に出して、バックオーダーを抱えたのもその頃だ