階層化社会と80年代リバイバル

最近、<上流><下流>というフレーズを見る機会が増えた。昨年の流行語大賞でも、<富裕層>という言葉が入賞している。いまの日本社会で階層化<ヒエラルキー>が進んでいるという見方もある。それを否定するわけではないが、こうした議論はある種の流行によるものであり、構造的な変化を持ち出さなくとも、中期的な循環により相当程度説明できるのではないかと思う。

つまり、何かがすっかりと変わってしまったというのは考えすぎで、時代が巡ってきているに過ぎない部分もあるのではないか。渡辺和弘が、31の職業についてそれぞれ「金持ち」と「ビンボー人」を二分して、「マル金」「マルビ」という流行語を生み出した『金魂巻』がベストセラーになったのは1988年だった。

ということで、以下メモ。

85年〜94年…「ヒエラルキー」の時代

(キーワード)NTT株、未公開株式(リクルートコスモス事件)、地上げ、バブル(経済)、DCブランド、グルメ、いつかはクラウン、シーマ(現象)、経営多角化、偏差値、Jリーグ

95年〜1999年…「反ヒエラルキー」の時代

(キーワード)バブル崩壊、価格破壊、倒産、山一証券廃業、銀行国有化、大蔵省接待汚職(ノーパンしゃぶしゃぶ)、官官接待薬害エイズ訴訟、青島幸男都知事・横山ノック府知事、外資系、ドジャース野茂、雑草魂、ユニクロ、インターネット、選択と集中、RV車、エコロジー、フリーター、学級崩壊、ショムニ、ルーズソックス

2000年〜2004年…「脱ヒエラルキー」の時代

(キーワード)ベンチャー企業、IT、起業、規制緩和、事業再生、新規参入、セレクトショップ、プリウス、ニート、癒し系、韓流

2005年〜…「再ヒエラルキー」の時代

(キーワード)M&A(合併・買収)、持株会社、三菱UFJ、レクサス、富裕層、ヒルズ族ジェイコム長者、上流・下流