相変わらず空気が支配する日本

グローバルな金融市場を育てることを国家戦略としているなかで、正当にあげた利益の返上を促すというのは自殺行為に他ならない。そりゃ、自民党調査会の小委員会は政府の組織ではないけれども、与謝野馨のような与党で影響力のある人物の発言は、当該企業にとっては大いにプレッシャーになると思われる。最後の一社になっても、こうした圧力をつっぱねているクレディスイスの主張は正論だと思う。

みずほ証券誤発注:クレディ・スイス証券からの問い合わせ、東証「通常取引」と回答◇発生30分後「誤発注では?」


みずほ証券によるジェイコム株の誤発注問題で、スイス系のクレディ・スイス・ファースト・ボストン証券が誤発注から約30分後の8日午前10時ごろ、東京証券取引所に「誤発注では」と問い合わせたが、東証が「通常の取引」と答えていたことが分かった。20日開かれた自民党金融調査会の小委員会で、クレディ幹部が明らかにしたもので、同社は応答を受けて株の買い入れを続けたという。

 クレディとUBSグループ▽モルガン・スタンレー日興コーディアル▽リーマンブラザーズ▽野村の6社は誤発注をめぐる株取引で総計約162億円の利益を上げた。しかし日本証券業協会などが利益返上を促している。クレディの説明は取引が正当との主張とみられる。クレディ以外の5社が小委員会で利益返上を検討する姿勢を示したのに対しクレディは態度を保留した。

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かつて「日本は空気が支配する」と看破したのは山本七平だった。

日本は空気(ニューマ)が支配する国である。その時々の空気が支配する。欧米のように客観的規範が支配するのではない。

(山本七平『空気の研究』)

「金融ビッグバン」を標榜してグローバルなプレーヤーを招いている証券のマーケットでも、相変わらずのムラ的な発想しかないのではお先は真っ暗だ。ここは「国賊」などという批判に負けず、クレディスイスには頑張って欲しい。

しかし、こういう「空気」とか「ムード」の醸成には、「トップ記事」「観測記事」などの形でマスコミも相当加担していると思う。