経済

朝鮮特需と地政学リスク

北朝鮮と韓国の間で緊張が高まっている。そのうち局地戦が始まってもおかしくない。 前回の朝鮮戦争では日本は特需を受け、戦後の復興のきっかけとなった。今回、そのシナリオよりも「地政学リスク」が言われるのはなぜなんだろう。局地戦の留まらず、戦線の…

「復活詐欺」に注意

10年前から百貨店の復活を唱え続ける松岡真宏。そんな松岡が日経ビジネスの特集でまたしても登場。 …涼しい顔で「百貨店、復活できますよ」とおっしゃる方がいらっしゃる。それが本連載に登場する松岡真宏さんです。 松岡さんは1990年代から2000年代前半にか…

日本ギリシャ化計画

日本郵政が純粋な民間企業であれば「どうぞお好きに」だが、預入限度額を引き上げることを決めた時点で政府の肩入れは明白になった。収益化の算段もたたないうちから正社員を増やすことを決定すること自体、モラルハザードの典型だ。このまま非効率な組織を…

クロマグロ禁輸否決

マグロ価格の波乱要因となっていたワシントン条約会議だが、クロマグロ禁輸案はEU案、モナコ案とも否決された。この手の話は、科学的に根拠が乏しかったり、経済的合理性がなかったりしても、往々にして政治の力学で決まってしまいがちだ。そういう舞台で日…

どこまで行っても非上場企業体質のサントリー〜キリンとの経営統合破談

キリンとサントリーの経営統合が破談となった。直接の理由は統合比率ということだが、サントリーの佐治社長への取材を見る限り、サントリーという会社の体質が原因であるということが分かる。結局、サントリーはどこまでいってもオーナー企業であり、グロー…

オリンピックもBRICsの時代が到来か−リオが開催地に決定

北京が選ばれた時点で気付くべきだった。BRICsのような国では「インフラ」「治安」等の不安要素も大きいが、だからこそ「オリンピック開催」が梃子となって経済の発展や民度の向上を加速させる可能性があることに。 開催国にとってもオリンピックの開催が歴…

民主党連立政権の経済閣僚は何を狙っているのか

民主党連立政権の経済閣僚とは、一体、何を企む者たちなんだろう。いきなり財務大臣は円高を誘発。1ドル90円割れに突入。一方、金融・郵政大臣は株安を誘発。一時1万円割れ―このままではグローバルな世界の中で金融鎖国を行うという方向に進むのではないかと…

亀井はまず中国に学ぶべきではないか

小泉憎し、竹中憎し、グローバリズム憎し。それを掲げて郵政関係者を支持基盤としている亀井静香が郵政担当相というのは、まるで旧世紀の自民党さながらの絵に描いたような利権政治そのもので、これはもう失笑するしかない。それはそうとしても、金融機関を…

キリン・サントリーの統合を公取が注視?

公正取引委員会の事務総長が「慎重かつ詳細な審査が必要になる」と発言。まあ日本国内のシェアを考えるとそういうことになるだろう。 だが、国際競争が激化する中で、国内での寡占化を防止するために大型合併にストップをかけるのは誤りだ。消費者の保護も重…

GONZOが上場廃止

本日、GONZO(GONZO Web Official Site)の上場廃止が決まった。債務超過の解消に目途が立たなかったのが決定打となった。IR資料を見ると監査人の意見ももらえていないようで、これは単に非上場企業になるというだけでとどまるものではなく、なかなか危険な…

プリウスで復活するトヨタ

新型プリウスの受注が14万台。残業も再開されるようだ。これで本来のトヨタに戻ってきたといえる。アメリカの自動車産業に激震が走る中、国内でのプリウスの生産で弾みをつけて、グローバルに量産できる体制を構築するということだろう。これがもう一年早け…

新生・あおぞらの統合

新生銀行もあおぞら銀行も単独での生き残りが困難なことが明らかであり、目下の金融危機で何らかの対応は欠かせない状況だ。記事にあるような「来年夏メド」なんて悠長なタイムスパンではなく、ビジネス環境によっては来年3月末が一つの山場になると思う。し…

アナログTV買取はありえない

公明党総務部会が昨日発表したアナログTV買取案が、さっそく撤回された。公平性、不正防止、買い控え、財政支出の意義等の点で疑問だらけだったので、ある意味当たり前だ。最近は政権交代を見据えて、民主党の政権担当能力や危機管理能力が問われる局面が増…

エンジニアは環境の夢を見る

クルマの世界ではようやく20世紀が終わりつつある。大量生産・大量消費(+多額のローン)のビジネスモデルを基盤としてきたアメリカの自動車産業は、いまやあの国で最大のお荷物となった。フォーディズムという単語はいまや古語の領域だし、「ビッグ・スリ…

石川遼に公的資金

全日空のTVCMに石川遼が出演している。全日空は石川遼とスポンサー契約を結んだとのこと。一方、全日空は業績不振のため公的資金の導入を検討しているとも言われている。 経営の危機に瀕して税金の投入を受けようかという企業が、スポーツ選手のスポンサーと…

「奇策」というよりも「奇事」

日経新聞が、三菱UFJの黒字が「奇策」によるものだと報じた。 三菱UFJ、奇策で黒字 保有株の簿価変更で損失抑制三菱UFJフィナンシャル・グループが2009年3月期の業績予想を最終黒字としたのは、保有株式の簿価を変更するという“奇策”が大きく寄与した…

今日も日経はシティの味方

日経は、積極的な事業拡大をしていた頃のシティをもてはやした筆頭だったが、撤収戦の味方もするらしい。というのも、こんなリーク記事を書いているからだ。 日興コーデ入札、月内にも 米シティ、3メガ銀が買収名乗りへ 経営再建中の米シティグループが傘下…

トヨタにこそ公的資金を!

リセッションが急激に進んでいる。トヨタが創業者の末裔(「オーナー一族」ではない)を社長にするのが「あえて登板し、社内の危機感を高める」と報じられたが、原因と結果の取り違えとしか思えない。たとえ豊田一族が社長につかなくても、社内の危機感は頂…

ソニーがついに営業赤字転落

景気後退の影響甚大だが、営業段階で2600億円の赤字というのは凄まじい。PCもTVもゲーム機も音楽プレーヤーも商品として決め手に欠くが、ここまでの赤字を出すとなると「選択と集中」は避けられまい。グループ全体で2500億円のコスト削減を目指すということ…

公取がつぶした合併

メディセオ・パルテックとアルフレッサが合併を取りやめた。理由は、公取での審査が長引いていて、早期に統合効果を発揮できないからというもの。グローバルでの競争が激化するだけでなく、他業種からの参入障壁も低くなっているなか、国内のシェアが高いの…

「派遣」は雇用のカンバン方式なのか

変動費の調整手段としては「派遣切り」には合理的な面もあるのだろうと思う。少なくとも短期的には、であるが。だが、現在、製造業で行われている雇用調整が、経済全体のスローダウンに合ったものなのかどうかは、現時点では何ともいえない。しかしながら、…

日興の希望退職に1000人以上が応募

日本IBMやソニーのリストラが話題となっているが、日興コーディアルの希望退職に1000人以上が応募というのも凄い。証券マンという人種はそれなりに相場感を持っているはずだが、現在の荒波の労働市場の中に出てでも、ここで年収の2倍の割増退職金を受け取る…

九十九電機が民事再生法申請

「九十九」を「ツクモ」と読める中学生だったのは、「九十九電機」を知っていたからだ。そう思うと感慨深い。最近は高田馬場にも出店していたが、空いている店舗でじっくりと品物選びができて重宝していた(あの空き具合は経営的には確かにまずかっただろう…

日経によるメガバンク増資報道で日経平均暴落

日経のスクープ「三菱UFJ1兆円増資」を嫌気して、日経平均が続落。こう書いていると、日経のインサイダー情報垂れ流しどころか、「風説の流布」、あるいは「相場操縦」という単語さえ思い浮かぶ。日経は日経平均を暴落させる意図はなかったのもしれないが、…

「三菱UFJ、最大1兆円増資へ」という日経記事の愚

今日の日経新聞の朝刊の一面トップ記事「三菱UFJ、最大1兆円増資へ 年度内、株価見極め判断」。内容的には十分ありそうな話だ。だが、金融商品取引に影響力のある日経新聞が、上場企業のファイナンスに関する重要情報(しかも公募増資)を、内部者=イン…

危ないのはGMだけじゃない

アメリカで景気後退が始まったことで、日本の自動車メーカーも苦境に立たされる。このニュースは日産だが、ホンダも、トヨタも影響を免れない。富裕層向けのレクサスが一番ダメージがありそうだ。 日産自動車は21日、米国市場向けの大型・高級車を生産する…

クルーグマンがノーベル経済学賞を受賞

本命がついに受賞した、という感じ。「ついに」といってもまだ55歳で、歴代受賞者の中では最も若い部類に入るだろうけれども。受賞理由が「貿易構造と立地の理論への貢献」ということで、「実体経済」に対する功績が評価されたあたりがいかにも時流だなと思…

三菱UFJはそれでもモルガンスタンレーに出資するか

相手先の株価が下落しても、合意した条件で出資をするのか。経済合理性とビジネス倫理は必ずしも相反するものではないが、この局面ではトレードオフの関係が成立していることは間違いない。経営判断として、両者の間のどこが最適だと示すのか。3連休中もマ…

BRICsもコモディティも危機

欧米や日本の先進国の株価の暴落が連日ニュースになっているが、BRICsともてはやされた途上国のファンドの下落の方が酷い。株と為替のダブルパンチのブラジルファンドなどは、一年前の3分の1だ(チャート添付)。ロシア、ブラジルも似たような状況で、半分…

三菱UFJとモルガンスタンレー

今回のアメリカの金融危機で、三菱UFJはモルガンスタンレーに1兆円近い出資を行うことになった。だが、出資の見返りに狙う具体的な成果は、当然のことながら「補完関係」を狙った業務提携を行うことになる。では、具体的な「補完」とは何か。商業銀行、信託…