書籍

ジェンダーを軽く飛び越える―志村貴子『娘の家出(1)』

志村貴子の新作『娘の家出(1)』を読んだ。 冒頭からジェンダーとか社会規範とか、そういうものを軽く飛び越えている。「恋愛って、異性を好きになることとは限らない」―「放浪息子」とか「青い花」にも通じる志村貴子ワールド。「自分が何者か」を探す過…

風雲急を告げる―『姉の結婚(7)』

不惑の四十代というけれど、本当に惑わない人なんてどれくらいいるのだろうか。むしろ惑うからこそ「惑ってはいけない」という戒めを込めて、「不惑」というレッテルを貼るのだろうと思う。さて、惑いまくりの四十歳を描いている『姉の結婚』。 膠着状態が続…

ドロシー富永美杜が「B.L.T. U-17 Vol.30」に登場

今日発売の「B.L.T. U-17 Vol.30」にドロシーの富永美杜が登場。インタビューとグラビアが掲載されている。B.L.T. U-17 vol.30 (東京ニュースMOOK)出版社/メーカー: 東京ニュース通信社発売日: 2014/05/09メディア: ムックこの商品を含むブログを見る全部で1…

いつまでも記憶に絡みつく喪失感―村上春樹「女のいない男たち」

ある日突然、あなたは女のいない男たちになる。その日はほんの僅かな予告もヒントも与えられず、予感も虫の知らせもなく、ノックも咳払いも抜きで、出し抜けにあなたのもとを訪れる。 (村上春樹「女のいない男たち」) 僕らは失う。失ったものは戻ってこな…

川上徹也&Negiccoトークショー&サイン会@芳林堂高田馬場店

Negiccoの物語を知るものは幸せである。心豊かであろうから―ということで、芳林堂高田馬場店で開催された川上徹也&Negiccoトークショー&サイン会に行ってきた。新刊「Negiccoの成長ストーリーこそ、マーケティングの教科書だ」の発売記念というとで、60名…

「僕の仕事はYouTube」HIKAKIN

HIKAKIN。新潟県出身。高校卒業後上京し就職。YouTubeの動画投稿で注目を集め、2012年には会社を辞め、YouTube一本の生活に。2013年5月、エアロスミスと共演―ということで、ともかく成功者だと言っていいだろう。今回出版した「僕の仕事はYouTube」には、そ…

「新潟発アイドルNegiccoの成長ストーリーこそ、マーケティングの教科書だ」

マーケティング1.0は、企業が売りたい商品を消費者に売ること。 マーケティング2.0は、消費者の満足を高めるような商品を売ること。 では、マーケティング3.0とは何か。 それは、企業と消費者が価値観を共有し、一緒に商品を作り上げること。 まさに、ネット…

夢はいつかは終わる―『5つ数えれば君の夢』(今日マチ子)

私達は誰かの夢だから 夢はいつかは終わってしまうから (今日マチ子『5つ数えれば君の夢』) 『5つ数えれば君の夢』といえば、山戸結希が監督した東京女子流主演の映画だけれども、今日マチ子によるコラボレーションのコミックが発表された。第一話は「ア…

MARQUEE 101のBack Coverに Dorothy Little Happy (ドロシーリトルハッピー)

MARQUEE 101のBack Coverに Dorothy Little Happy (ドロシーリトルハッピー)。 いまのドロシーの魅力は写真だけでも伝わる。 衣装の形が綺麗で、ターンするとスカートがふわっと広がる感じとか。 このBack Coverはアルバムリリースに合わせてのタイミング…

絶対大森靖子がいいな

まずずっと愛してるなんて嘘じゃない 若いこのとこにいくのをみてたよ (大森靖子「絶対彼女」) 大森靖子が表紙のSPOTTED(vo.14)を買った。表紙+巻頭カラー特集7P。ほとんどがインタビューというボリューム。ちゃんと字数数えていないけど、一万字はあろう…

anan No.1891「秘かにアイドル研究!」

anan No.1891は「秘かにアイドル研究!」。この表紙のインパクトからすると、全然「秘かに」する気はなさそう。橋本環奈は文句なしに隙のないかわいさだけど、ヲタ的には背景にあるグループ名の読み取りに萌える。これはかなりの充実度ではないか。当然だが…

心の闇について―『聲の形(1)』

僕の記憶が確かなら、かつて僕の生活はお祭りだった。心というが心を開き、酒という酒が振る舞われた。 ある晩、僕は<美女>を膝に坐らせた。―苦々しい奴だと思った。―毒づいてやった。 僕は正義に対して武装した。 僕は逃げた。おぉ、魔女よ、貧困よ、憎し…

西炯子『なかじまなかじま(2)』

あれ? 自他共に「地味」だと認める主人公のはずだったのに…といういつもの西炯子パターンになって参りました。それくらい麗奈はモテすぎるし、しかもその魅力をストーリーだけではなくしっかりとビジュアル面で見せてくれる西先生素敵です。なかじま(ジュ…

『世界を変えた24の方程式』(デイナ・マッケンジー)

想像力は、知識よりも大切だ。 知識には限界がある。 想像力は、世界を包み込む。 (アルバート・アインシュタイン) 想像力は発見を生む。発見は世界を変える。 この点で「世界を変えた」という、やや盛り気味の邦題に嘘はない。 数学には、その力がある。…

私達は何者になったのだろうか―酒井順子『ユーミンの罪』

きっと何者にもなれないお前達に告げる。ピングドラムを手に入れるのだ。 (『輪るピングドラム』のプリンセス・オブ・クリスタル) 酒井順子の『ユーミンの罪』を読んだ。彼女はこう書いている。 ユーミンに対しては、「いい夢を見させてもらった」という気…

finalvent『考える生き方』を読んで考えた

"advent"はキリスト降臨のこと。だが、"finalvent"と聞くと、どうしても『仮面ライダー龍騎』の必殺技カードを思い出してしまう。闘え、闘えと、神崎史郎の声がする。さて、そんな龍騎と関係するのかどうか分からないが、高名なブロガーのfinalvent氏の『考…

未婚のプロまっしぐら―『姉の結婚(6)』

「本命になりたい」って言い出すのも覚悟がいることで、そこには高いハードルがあるけど、「本命になる」のはまたさらに別の困難が待ち受けている。個人的に今一番面白い作品である西炯子『姉の結婚』の最新刊では、主人公のヨリと、元同級生の真木が、とも…

偏愛が凄い―本田翼「ほんだらけ」

本田翼の「ほんだらけ」を買ってきた。「最初で最後の写真集」ならぬ「1st-Last写真本」という帯のコピーは伊達じゃない。「まんだらけ」をリスペクトしたタイトルの時点で気付くべきだった。ここにいるのは、モデルでも女優でもない。布団にくるまったまま…

写真の役割を改めて考えさせられる―『写実画の凄い世界』

写実画を見たくなったらホキ美術館に行くと良い。日本の現代作家約50人による作品約350点を所収している。だが、ホキ美術館は外房線土気駅からバスということでアクセスが悪く、気軽には足を運べない。となると手元に画集を置いておきたくなる。が、なぜか写…

タイトル最強―『統計学が最強の学問である』

日本語を学ぶ外国人にとって、「は」と「が」の使い分けは意外に難しいらしい。 統計学は最強の学問である 統計学が最強の学問である いずれも間違いではないが、「が」の方が「他ではなく」という一層強調したニュアンスを持っている。では、この本は「統計…

『きゅんっ』きゅんくん×藍田麻央―「本物」の時間

女の子を撮るのは桜を愛でるのと似ている。儚い美しさを永遠のものにしたいという、静かだが狂おしい想いの具現化だ。僕にとっての女の子写真集の最高傑作は、川島小鳥さんが2007年に出した『BABY BABY』。4年の長い時間をかけて一人の女の子を撮り続けた作…

1億円は貯められるか―『投資で一番大切な20の教え』

「1億円は貯められる 月5万円の積立で」と謳っていたプライベートバンクが業務停止命令を受けた。さて、では僕らは1億円まで資産を増やせるのか。そんな上手い話はあるのだろうか。今年のノーベル経済学賞を受賞したファーマやシラーは、この「上手い話はあ…

ジェーン・スー『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』

2003年、酒井順子は『負け犬の遠吠え』で「30代超・子供を持たない未婚女性」を「負け犬」と定義し、子供を持つ既婚女性と対比して、その生き様をポジティブに描いた。人によっては「ポジティブ」どころではなかったかもしれないが、僕にとっては旧来の価値…

一つの結果論だが―「世紀の空売り―世界経済の破綻に賭けた男たち」

「それでも地球は回っている」とコペルニクスが呟いたという証拠はないが、周囲が全て天動説を唱えているときに、一人で地動説を唱えていても社会的に成功することは難しい。だが、周囲が全て「証券化によって債権を分散すればリスクは小さくなる」と唱えて…

京フェス2013のこと

京都SFフェスティバル2013に行ってきた。今年の本会はこんなタイムテーブルだった。 小説とコミュニケーション(円城塔、福永信) SFの中のセックス、セックスの中のSF ~私たちは何をエロいと思うのか(小川一水、掘骨砕三) 近未来都市SFのフロンティ…

そして毎日は続いてく―『3月のライオン(9)』

そして毎日は続いてく 丘を越え僕たちは歩く (「ぼくらが旅に出る理由」小沢健二) 表紙にもあるように、今回は「ひなた巻」。彼女を巡るいじめは一応解消したのだけれど、どのような進路を取るかという問題は、逃げることのできない別の話として、静かに横…

志村貴子『青い花(8)』―ついに完結

志村貴子は、このところ『放浪息子』と『青い花』を立て続けに終わらせた。何か事情があるのか、偶然の符合なのかは分からない。ファンの一人としては、『青い花』が性急な形で終わるようなことがないといいなと願っていたが、この巻を読んでその心配は杞憂…

渋谷直角『カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生』

サブカルの「サブ」は、サブプライムの「サブ」と同じで「下位」という意味。自分の好きなものが「サブ」と言われるのはどうなんだろう。「サブっていうな」と思うか、それとも「サブ上等」と思うか。はてなで「サブカル女とは」というページがあった。悪意…

桜木紫乃『ホテルローヤル』―地味な世界で地道に生きる人たちの物語

芥川賞作品と比べると直木賞作品は刺激が少ない。そんな風に考えていた時期が私にもありましたー148回受賞作の朝井リョウ『何物』を読んで、その衝撃的なラストに感銘を受けたので、今回の桜木紫乃『ホテルローヤル』も期待をもって読み始めた。釧路のラブホ…

藤野可織『爪と目』―二人称が成功しているとは思えない

あなたはこのエントリーを開く。予想通り長い文章が続いている。読む気がしないので、そっと閉じる―これが二人称文体だ。第149回芥川賞受賞作の藤野可織の『爪と目』は二人称で書かれた作品である。「あなた」とは誰のことなのか、そしてその人を「あなた」…