ハコムスのファーストコンサートのクラウドファンディング。
リターンの中の一つとして用意されたのが、今回のレコーディング見学。
10人のファンが今回のイベントに参加した。
場所は都内某スタジオ。
会場には、ハコムスメンバー8人、そして鈴木プロデューサー、レコーディングディレクター、オペレーター2名、そしてハコムススタッフ。
今日の収録曲は、「ストローハットの夏想い」(斉藤由貴)と、「お引っ越し」(Qlair)。
「ストローハットの夏想い」(19:00-20:00)
まずはリーダーの我妻桃実からレコーディング開始。
以前見学した時もぽにょがトップバッターだったので、これがいつもの順番なのかな。
ハコイリ♡ムスメの「ストローハットの夏想い」は、誰もいないステージにメンバーが一人ずつソロを歌いながら登場し、全員揃ってユニゾンを歌った後、また一人ずつ舞台袖にはけていき、最後にステージに置かれた椅子の上のストローハットだけが残るという演劇的な演出を行なっている曲。
収録も「ソロパート→下ハモ→全員のユニゾン」の順で。
歌いなれた曲ということもあって、細かい「指導」的なものはほとんどなく、「優しい感じで」という鈴木Pの演出がほぼ全てという感じ。
数テイク録って、無事にぽにょは終了。
続いて、星里奈。
「もうちょっと大人っぽくていい。今より5歳上くらい」と、歌うときの「設定年齢」みたいなものを鈴木Pが説明し、それを受けて大人っぽい包容力をボーカルで醸す里奈ちゃん凄い。
次は井上姫月。
地獄の夏合宿を経て、声量が一気に上がったひるてゃん。まずは、マイク、モニターのバランスを取るのに一苦労。「うれしい悲鳴」というべきか。
高音部を地声で歌うかファルセットにするか確認し、試しながら両方を録る。
彼女の声にはフックがあるというか、個性が強目に耳に残るので、「原曲に近い歌い方にするか、本人の解釈で歌わせるか」みたいな議論が、プロデューサーとディレクターの間でなされたのも興味深かった。
次は寺島和花のターン。
前回のレコーディング見学の時よりも歌唱力を上げているワカチコ。
最初のテイクからそつなく歌い上げるが、「優しく歌ってみて」とか「リズムに乗ってみよう」とか、細かい指導・演出が入り、それを聞いてすぐに反映していく。
短時間での収録ということで、効率的でなくてはならないが、仕上がりに妥協もできないし、メンバーのメンタルを高めて最高の表現を引き出したい・・・というバランスをどこで取るかという難しい問題に直面するが、今回もスタッフの共同作業はテキパキと進んでいく。
プロの仕事を見るのは本当に気持ちがいい。
そして、阿部かれん、吉田万葉の順番で。
かれんちゃんは「私のときは近くに見に来ないでね、気が散るから(笑)」とわざわざファンに言っただけあって、ものすごい集中力を発揮して、早めにOKテイクを出す。
まんよは、最初に歌ったのを聴いた鈴木Pに「もっと大人っぽくていいよ」と言われて、表現を修正したものでOK。瞬殺。
終盤は、塩野虹、戸羽望実の4期生。
なーちゃんは、キャンディボイスが持ち味だが、この曲では「大人っぽいバージョンで」とPに言われて、切なさを滲ませるような歌唱法で臨む。ディレクターからも「できるじゃん。芸達者!」と評価されていた。
のんちゃんは、もともと大人びた表現には定評があるけれども、細かい音程の確認をして、ベストテイクを残した。
「ストローハットの夏想い」のレコーディングは、予定通り1時間で終了。
休憩時間(20:00-20:15)
後半に「お引っ越し」(Qlair)のレコーディングを残して、15分の休憩へ。
「お引っ越し」は、我妻・阿部・星の「大人組」のユニットなので、「子供組」はもう解放された感。
ファンにもお菓子が手渡されたが、メンバーも「もぐもぐタイム」。
星里奈ちゃんに膝抱っこに行くひるてゃんかわいい。
まんよ&なーちゃんのくつろぎっぷりも微笑ましかった(この後、二人ともねむねむタイムに突入)。
「お引っ越し」(20:15-21:10)
Qlairの三声ハモの名曲「お引っ越し」。
ハコムスカバーで最初に聞いたときには「小松・鉄戸・阿部」というユニットだったが、今は「阿部・我妻・星」。
その阿部かれんちゃんも来月卒業ということで、この曲のカバーの最初から時間を過ごして来たかれんちゃんの声がCDとして残るのは、なんというか「間に合った」という感じ。
収録はまたしても我妻桃実から。
「主メロ(ソロ)→下ハモ(二声)→ソロ→下ハモ(三声)」みたいなのの繰り返し。
3人のユニット曲だから「ストローハットの夏想い」よりも一人一人の歌唱パートが多く、しかも主メロと下ハモが交互に登場したりするのを一気に繋げて歌うので舌を巻くレベル。
ぽにょが「ハモ職人」と言われるのもよく分かるというべきか。
それでもサクサクとレコーディングが進み、一通り終わったと思ったところで、パートの追加が行われることに。
「お引っ越し」は、彼氏と別れて新天地に引っ越す女の子が、思い出の部屋を去る時の心境を歌ったものなんだけれども、基本的にはカラッとサバサバして前向きに歌われる。
しかし、そんな簡単に未練を捨てられるものでもなくて、楽曲の終盤にはサブメロのコーラスで「あの日に戻りたい 戻れない 悲しい」という本音が入ってくる。
このコーラスの部分は、メインの「バッハッハーイ」と重なるので、ライブでは再現不可能なもの。
けれども、ハコイリ♡ムスメが音源化する時には、Qlairと同じようにこのパートを入れて欲しいと願っていた。
だからその部分を収録するという話が出た時に、感動で震えがきてしまった。
準備は必ずしも十分ではなく、その場で何度もその部分を聞いて、ディレクターがメロディとリズムを分析し、メンバーが歌詞を聞き取って、手元に書き残す。
ディレクターはぽにょに「音符読める?」と聞き、「読めません」と答えるのを聞くと、メロディとリズムをその場で”図”にして録音室に持ち込む。
それを元にぽにょが歌い上げる。
目の前で繰り広げられるプロたちのクリエイティブな作業に、「この場面が見られて本当に良かった」と思う。
追加部分のレコーディングが終わるまで、15分から20分といったところ。
レコーディング全体のスケジュールが押すことは確実になったが、それでも「満足のいく形でベストなものを残したい」という情熱が優先されるところに感動した。
続いて、星里奈が録音室に入る。
歌い始めると早速問題が発生。
三声ハモの上ハモを彼女が歌い始めたのだ。
どうやら「上ハモ=阿部、主メロ=星、下ハモ=我妻」という編成で撮るという予定が、阿部・星には逆に伝わっていた模様。
すかさずスタッフから星・阿部に本来のパートを伝えて、その場で修正が始まる。
「全部主メロでお願いします」という指示を受けた星が、音源を改めて聞いたりもせず、特に困った様子もなく、淡々と主メロを歌い始めたのには驚いた。
鈴木Pからは「もっと明るく」などの演出も入りつつ、本来の予定パートを一通り録り終えると、最後の追加コーラスへ。
ここでは、ぽにょの歌った音源をリファレンスにしながら、星里奈ちゃんも耳コピベースでレコーディング。
プロだなあと思わさせる瞬間だった。
いよいよ今日の収録の最後は阿部かれん。
終了予定時刻まで残り少ないタイミングで、押すことは避けられない状況。
しかも、主メロと上ハモのパートチェンジが直前で指示されたこともあって、下手をすれば収録が深夜に及ぶ可能性もあった。
しかし、かれんちゃんは、全てのパートをノーミスで歌っていき、追加パートも完璧に歌い上げた。
「巻いてきます!」という宣言まではなかったけれども、レコーディングの時間の遅れを一気に挽回するという意気込みを感じさせる姿だった。
ボーカルの表現も、ハコムスで一番長く「お引っ越し」を歌っているだけのことはある説得力のあるものだった。
9月30日に卒業する阿部かれんのハコムスとしての(恐らく)最後のCDが「バッハッハーイ ありがと じゃあ もう行くね」というのは、出来過ぎのような気もしたけれど・・・
最後に、レコーディングした音源のOKテイクをつないだものをメンバーと参加者で一緒に聴く。
「ストローハットの夏想い」は、想像以上にメンバー間の表現の粒が揃っていた。
「お引っ越し」の方は、三声ハモの美しさが引き立っていた。そして、最後のコーラス、やっぱり最高。
作品が生まれる貴重な瞬間に立ち会えて良かった。
このCDは、それぞれ9月4日、9月18日のハコムスの平日定期公演の特典としてもらえるので、今から楽しみ!